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 アントシアニン類 対 アントシアニジン類

 



抗酸化活性:
スーパーオキシドアニオ ン発生系ヒポキサンチン・キサンチンオキシダーゼでインビトロ試験を行った結果、ビルベリーアントシアニン類と一部の関連アグリコンが強力なフリーラジカル捕捉物質であることが報告されている。(1,2) また、Vaccinium myrtillus果実のアントシアニンエキスがラット肝臓ミクロソーム中においてスーパーオキシドアニオンに対する捕捉物質並びに脂質過酸化反応の阻害物質として作用することも明らかとなっている。(3-5)
塩化シアニジンと塩化デ ルフィニジンは、1,1-ジフェ ニル-1-ピクリルヒドラジ ル(DPPH)フリーラジカルと相 互作用する強力な捕捉剤 であることが明らかとな った。即ち、IC50値は、それ ぞれ2.5Mおよび4.0Mとケル セチンの値に匹敵する値 であった。
塩化シアニジンはCC14誘発 脂質過酸化反応に対して 最も活性の高い化合物で ある。(6)
Laplaudらは(7)Vaccinium myrtillusベリーの水様エキスが銅触媒による酸化から低濃度リポ蛋白(LDL)を守ると報告した。
また、Rasettiら8が報告しているように、ある特殊なビルベリーエキスでは紫外線誘発による酸化的分解からアポリポ蛋白Bを守る作用が認められた。
一柳らは(9)、キャピラリーゾーン電気泳動法を用いてヒドロキシルラジカル(OH)、スーパーオキシドアニオン並びに一重項酸素に対する11の主要ビルベリー アントシアニン類の活性について検討した。OHに対するアントシアニン類の反応性は標準品として用いた(+)-カテキンの反応性と同等であり、アグリコン構造の有意な影響も結合型糖質の有意な影響も受けることはなかった。これとは逆にスーパーオキシドアニオンと一重項酸素に対するその反応性はアグリコン構造により決定づけられていた。
また、Priorらは(10)異なった4種のVaccinium種の抗酸化能(酸素ラジカル吸収能ORAC)
を比較し、Vaccinium myrtillusVaccinium angustifolium(低木)が強力なORAC作用を有している(それぞれ44.6  2.3と45.9  2.2 )ことを発見した。
ORACとアントシアニン(rxy = 0.77)または総フェノール含量(rxy = 0.92)との間には直線関係があった。
更に、アントシアニン類は、金属イオンをキレート化し、アスコルビン酸(補助色素)-メタル-アントシアニン複合体を形成することによって金属イオンで引き起こされるアスコルビン酸の酸化も抑制する。(11)加えて、アントシアニンエキスがヒト赤血球中のフリーラジカル誘発によるK + 喪失並びに酸化(的)化合物であるダウノマイシンおよびパラクワット誘発による細胞反応性を抑制することが報告されている。12,13)


環状ヌクレオチド・フォスフォジエステラーゼの抑制:
シアニジン、デルフィニジン、マルビジン3-O-グルコシドおよびそれらのアグリコン等のアントシアニン類は、網膜、脈絡膜、大血管や血小板等、様々なソースからフォスフォジエステラーゼ(PDE)イソフォームを抑制することが報告されている。 当該化合物は血小板PDEよりも網膜PDEに対して、また、特に、網膜カルモデュリンの刺激を受けた酵素に対して高活性がみとめられた。カルモデュリンの刺激を受けた酵素に対するマルビジンおよびデルフィニジン3-O-グルコシドのIC50は、5.4~35.6Mの範囲にあった。アントシアニン類は標準品として用いられたイソブチルメチルキサンチンより活性が高い事が観察された。(14-16)

抗血小板活性:
MorazzoniとMagistrettiは(17)、ウサギの多血小板血漿(PRP)でのADP、コラーゲンおよびアラキドン酸ナトリウム誘発による血小板凝集に対するビルベリー36%エキスの持つ抗血小板活性について検討した。その結果、ビルベリーエキスは、ジピリダモールで得られたものと同等の、IC50値が0.36~0.81 mg/mL PRPの範囲の血小板凝集の強力な阻害物質であることが判明した。更に、ビルベリーエキスは体外循環に維持したラットにおいて、ADP誘発による血小板凝集に対して抑制作用を発揮した。
最大400 mg/kg用量をラットに投与した場合、ビルベリーエキスは血液凝固経路に影響を及ぼすことなく出血時間を24時間延長し、また、マウスに400 mg/kgを経口投与した結果、ガラス製マイクロペレットへの血小板の凝集能を減少させた。Vaccinium myrtillus果実から抽出したアントシアニンエキスはヒト血漿においてADPないしアドレナリンで誘発した場合、インビトロ血小板凝集を抑制することが報告されている。(18) インビトロで証明された血小板凝集に対する当該抑制作用は経口投与(480 mg/日、30~60日間)の健常被験者30名の血液から得た血小板のADP並びにコラーゲン誘発による凝集でも確認された。(19)

コラーゲン、リン脂質およびプロテオグリカンとの相互作用:
インビトロでVaccinium myrtillus果実から抽出したアントシアニンエキスはアテローム性動脈硬化、肺気腫、関節リウマチといったある種の病態においてコラーゲンや血管外マトリックスのその他の成分の分解に関与するエステラーゼ等タンパク質分解酵素を抑制させることができる。(20)アントシアニンエキスはコラーゲン繊維を交叉結合し、また、コラゲナーゼ作用に対するコラーゲン繊維の抵抗性を強めることで、コラーゲン代謝と相互作用しうる。(21)糖尿病患者における毛細血管の肥厚の原因となる高分子コラーゲンと構造糖蛋白の生合成の減少についても記述がある。(22) 組織化学的、生化学的研究はVaccinium myrtillus由来のアントシアニン類がラットの脳由来の細胞膜のリン脂質成分と相互作用し、それらの物理化学的特性を潜在的に変更し、lesive stimuliに対するそれらの抵抗性を高めることを明らかにしている。(23)Salmonaらは(24)血小板の膜粘度に対するビルベリー36%エキスの影響について調べ、アントシアニン類が膜リン脂質に対するその高親和性の故に膜流動性を変更しうる事実を確認するに至った。また、異物誘発による肉芽腫中のムコ多糖類の生合成に対するVaccinium myrtillus由来のアントシアニン類の局所刺激作用についてMianらが報告している。(25)更に、ムコ多糖類が血管周囲組織の完全性のみならず基底膜の完全性の維持においても重要な役割を果たすことも認められている。また、Piovellaらは(26,27)、ヒト臍帯由来の内皮細胞を用いて行ったインビトロ試験でアントシアニン類が色素材の活発な食作用と強力な細胞再生を誘発すると報告している。線維芽細胞と平滑筋細胞に対する増殖促進作用についても同試験で報告されている。
ムコ多糖類に対する刺激作用により、アントシアニン類には血管壁と血管周囲組織双方の細胞成分の再生を容易にする働きがあるようである。

細動脈血管運動に対する作用:
微小血管ネットワークにおける細動脈直径の周期的変化である細動脈血管運動が間質液の形成を調節する微小血管メカニズムに影響を及ぼす。Colantuoniらは(28) 細動脈血管運動に対するビルベリー36%エキスの作用について2実験モデル[麻酔ハムスターの頬袋と非麻酔ハムスターの皮膚襞window preparation(筋肉型)]で検討を行っている。ビルベリー36%エキス(5~10 mg/kg 静注)は頬袋細動脈内および終末細動脈内で麻酔剤により抑制された血管運動を誘発し、骨格筋細動脈ネットワークにおける血管運動数(頻度)を増加させた。これらの知見は、ビルベリーエキスが間質液形成を防止または制御し、微小血管ネットワークにおける血流再分配の制御の一因となりうることを示している。


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