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ビルベリーエキスは、1960年代に様々な視覚機能障害の条件下で広く試験されている。
エキス単独またはβカロテンおよびビタミンEとの併用で健常被験者ないし視力障害患者に投与された場合、多数の被験者において暗視能力、素早い暗順応とまぶしい光フラッシュへの曝露後の視力の早期回復等の項目で有意な改善が認められている。(1-5) 航空管制官、パイロット、車やトラックの運転者を対象として実施された治験で、アントシアニン類を含有するエキスが暗視能力と暗順応を改善しうることが示された。(6-8)
その後、Forteらは(9)、上述した試験で得られた成績を確認している。
最近、CanterとErnstは(10)、明るさを落とした条件下で実施したヒト視力に対するVaccinium myrtillusエキスの活性に関する臨床試験(1964年~2001年)についての批判的な書評を発表している。
その中では、30件の治験が検索され、その内の12件がプラセボ対照であった。その内の5件が無作為化比較試験であり、7件がプラセボ対照の非無作為化治験であった。最も最近の4件の治験はすべて無作為化比較試験(RCT)で、負の結果であった。
5件目と7件の非無作為化試験は、暗視能力に関する結果判定で正の結果を報告している。にもかかわらず、5件目の無作為化比較試験と7件のプラセボ対照の非無作為化治験は明るさを落とした状態の視覚に関する少なくとも1つの結果判定ではすべて正の結果を報告している。
しかしながら、これら負の結果は、以下に列挙する幾つかの要因で混乱している。即ち、異種製品、即ち、(i) 異なった植物化学物質の組成がこれらの治験で用いられている。(ii) 投与されたアントシアニジン類の量は治験間で異なっており、また、(iii) 負の結果の出た治験は用いた最小投与量に該当している(36, 40, 48および120 mgアントシアノサイド)、(iv) 登録基準。
暗視能力に対するビルベリーエキスの効果については、入手されているデータでは明確な結論を引き出すところまでは至っていない。
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1. Jayle G.-E, Aubert L., Thérapie 19, 171 (1964).
2. Jayle G.E., Aubry M., Gavini H., Braccini G., de la Baume C., Ann. Ocul. 198, 556 (1965).
3. Fiorini G., Biancacci A., Graziano F.M., Ann. Ottal. Clin. Ocul. 6, 371 (1965).
4. Urso G., Ann. Ottal. Clin. Ocul. 93, 931 (1967).
5. Zavarise G., Ann. Ottal. Clin. Ocul. 94, 209 (1968).
6. Belleoud L., Leluan D., Boyer Y., Rev. Méd. Aéro. Spat. 5, 45 (1966).
7. Belleoud L., Leluan D., Boyer Y., Rev. Méd. Aéro. Spat. 6, 5 (1967).
8. Rouher F., Sole P., Ann. Med. Accidents Traffic, 3-4 (1965).
9. Forte R., Gazzaniga D., Iacobelli L., Tassone R., Rispoli M., Ann. Ottal. Clin. Ocul. 122, 325 (1996).
10. Canter P.H., Ernst E., Surv. Ophthalmol. 49, 38 (2004).